【ガラス・ビーズ】

独特の存在感があるガラスとビーズは、作品に入れることによって装飾性が増します。

衝撃に弱いので実用食器には向きませんが、Boxや飾り皿に効果的に取り入れたいアイテムです。

 


【ビーズ】

普通の手芸店で販売されているものですが、プラスチック製だと焼成に耐えないので、必ずガラス製を使用します。定着させる溶剤は、速乾性かつ強い定着のものを使用しないと、焼成中にビーズが転がり落ちる原因となります。エナメルでつけるとしっかりつくので、立ち物などは安心ですが、エナメルのはみ出しが汚かったり、ビーズの種類によっては変色が見られます。

私はもっぱら盛り用の溶剤を使用しています。

ビーズはおおまかに分けて、サイズ、透明度があります。大きなビーズは焼成でヒビが入りやすいので、まずは小さいもの(左画像実寸大)がおすすめです。透明ビーズは溶けにくく、焼成後はがれやすいです。不透明ビーズは焼成温度を少し低くしないとドーム型がだれてしまいます。

下のような筒型のものも焼成後はドーム型になりますが、ビーズ穴に金属加工してあるものはその部分が黒くなってしまいます(中央赤と右端茶色)。また、右から2番目のように、元はピンク色なのに焼成によって透明に脱色してしまうこともあります。

*画像は焼成前と焼成後を並べて表示しています
小さいビーズの他に、「ミルフィオリ」というガラスの棒を金太郎飴のように輪切りにした素材もまれに見かけます。これも上と同じくサイズ・透明度で分類出来ます。左画像にあるように、不透明ミルフィオリでは焼成後色の変色を起こすものが多いようです(中央右など、元のオレンジが全く失われています)。画像は下が透明上が不透明で同時焼成(760度40分キープ)したものですが、不透明の方がドームがつぶれています。

【ガラス】

 

 

ビーズも元はガラスなので分類を分けるのも変なのですが、上とは定着させる素材のサイズが全く違うので、焼成には更なる注意を必要とします。ガラスは工業用のものだと融解温度がかなり高く、思ったテクスチャーが出ないこともありますので、必ず試し焼きをします。

左中央画像は金井作の部分ですが(全体はこちら)、赤いものはビーズ、青いメタリックなものは「ダイクロイックグラス」です。これは一番上の画像のような板状で、ステンドグラス売り場等で入手出来ます。

透明・不透明があり、中央画像は不透明、下画像は透明を使用しています。両者ともメタリック加工された面を必ず上にして定着させないと、かなりがっかりの結果になります。上画像の板状では大きい時には適当なサイズになるよう叩き割るか切るかします。色は様々ですが、焼成によって色が激変しますので、買ったとき青いから青くなる、とは限りません。焼成温度は高く、800-830度です。

 

不透明ダイクロワンポイント

溶剤はエナメルで可(どうせ不透明なので)。焼成回数がかさむとメタリック表面に亀裂が入ってきます。エナメルのはみ出しが焼成後発覚したら、黒い絵の具か金で塗って補修出来ます。

 

 

 

 

透明ダイクロワンポイント

溶剤は透明なものでないと、のりしろが目立ってかっこわるいです。大きなサイズで使用すると左下画像のような亀裂は免れませんが、かえってこれを面白く利用することも出来ます。釉薬の堅い素地につけると器ごと亀裂が入るので、使用する時には小さいもの若しくは釉薬の柔らかい器を使用します。

ダイクロは少量でも作品に取り入れると、なまじの絵ではガラスの存在感に圧倒されてしまいます。ダイクロのみでまとめるか、かなりデザインを練ってから使用すると良いでしょう。


【焼成】

ガラス・ビーズの焼成は冷却をゆっくりにすることがポイントです。せっかく定着していても、電気炉の内部温度と室温の差でヒビが入り、はがれてしまうこともよくあります。私がビーズ・ガラス作品の窯出しまでに要する時間は炉内温度が100度を切ってから12時間以上かかります。

窯の蓋は決して開けずに自然冷却し、炉内温度か完全に室温と同じになったら初めて少しずつ蓋を開け、1〜2時間ほどかけて蓋を全開にします。ちなみにはがれるときには釉薬と一緒に取れますので、もうその箇所にビーズをのせることは出来ません。金彩でごまかすか、完成してからかけらをこっそりセメダインで貼りましょう(涙)。

私の経験からすると、ビーズ・ガラス作品が完全に安定するまで半年はかかり、その間にヒビが増えたりはがれたりする危険が常に伴います。

焼成温度は830-740度の間です。かなり幅がありますが、これはガラスの大きさ・器の釉薬の堅さ・ガラスの溶ける温度がバラバラだからです。まずは760度くらいで実験をして、もっと緩やかなドーム型にしたい時は温度を上げて再度実験をします。


おまけの話・「他の人に焼成をお願いするとき」

上記のようにビーズとガラスの焼成は大変なリスクが付きまといます。ご自身の電気炉で焼成するならともかく、お友達や先生にお願いするときには、面倒でも単独で焼成していただくようお願いしましょう(ビーズが炉内ではじけたり剥落した場合、他の作品に再定着してしまう可能性があるからです)。

また逆に焼成をお願いされる立場になったら、安易に受けず、最悪作品の作り直しが生じるということを伝えるべきでしょう。ビーズ焼成をしたことが無いにもかかわらずお願いされてしまったら、「もしビーズが砕けてニクロム線にくっついて電気炉が壊れたら、当然弁償してネ〜10万くらいかしら?」と脅し、暗にお断りするのも良い手です。

2003/2/11 金井景子制作 2013/3/4加筆修正

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