【金彩(ゴールドワーク)】

作品を豪華に彩る金彩。ポーセラーツやチャイナペインティングでは、液体状の金液を筆を使って塗ります。その種類も色々あり、取り扱いもメーカーによって異なります。

絵付けに彩りを添える金彩ですが、大きく分けて金・銀に分かれます。更にマット(つや消しタイプ)、ブライトタイプ(ぴかっと光るタイプ)に分類されます。

更に金液は、速乾性・遅乾性か、水性が油性か、金の色味や含有率など、細かく分かれます。以下に上げるのは、入手し易い金液と特徴についてのレポートです。

 

【マット金速乾性タイプ】画像左

ヘリウス社・デグサ社が入手しやすいです。原液は黒く、すばやく乾燥するので繊細なストロークや立ち物に適します。デグサ社の金は完全に乾燥した後、竹串で削ることが出来ます。

 

【マット金遅乾性タイプ】画像左から2,3,4番目

日本金液・浪速金液が入手しやすいです。原液は焦げ茶色(黒マットは黒)です。乾燥が緩やかなので、皿の縁など厚塗りしすぎず使いやすいです。瓶底のマット成分をよくかくはんして使用します。

 

【マット銀遅乾タイプ】画像右

日本金液・浪速金液が入手し易いです。「プラチナマット」などの呼び方もあります。メーカーによって、光るブライト銀との名称の区別が曖昧なので、購入時にはマットタイプかどうか必ず確かめます。

 

【ブライト金遅乾タイプ】

ぴかぴかに光る金です。使いすぎると安ピカになるので注意します。沈殿物が無い分、マット金より扱いは容易です。

 

【水溶性タイプ】

通常、専用の金油で希釈しますが、メーカーによっては水を希釈剤、筆洗いに使用出来るものもあります。ねばりが少ないので、薄塗りによる発色不足に注意します。油性タイプよりも匂いが少ないようです。

いずれのタイプも、薄く塗りすぎると発色不足になり、厚すぎるとごっそりはがれます。修正はきれいにアルコールで落ちる金は落とし、それから前回使用した金と同種のもので薄く全体をカバーします(ここで厚く塗ると、再度はがれの原因になります)。

その他金の道具

【金油】

金液の希釈に使用します(銀も同様です)。速乾性・遅乾性とあるので、用途によって使い分けます。金液のメーカーごとに各種ありますので、よくわからない時は金液のメーカー出しているものを使用すると良いでしょう。

【金磨き・金消し】

仕上がったマット金を磨くもので、砂状のものと、シート状のものがあります。めのうの棒で磨く事もあります。

砂状のものは仕上がりが綺麗ですが、立ち物では使いにくいので水をつけて扱いやすくすると良いです。

シート状のものは、皿の縁などとても磨きやすいです。左画像にあるようなペンタイプの磨くツールもありますが、磨き傷が付きやすいのと、グラスファイバーが手にささると大変危険なので、取り扱いに注意が必要です。

 

上画像のチョークのような金消し棒は、金彩ではみ出した所を消すのに使用します。白い粉が出るスティックタイプより、こするときに力が入るので扱いやすいです。

また、下写真は「ゴールドオフ」と呼ばれるもので、入っている液体を綿棒の先などにつけて使用します。劇薬で、簡単にはみ出しを修正出来る反面、すばやくアルコールなどでふき取らないと釉薬まで溶かしてしまいます。劇薬のため、日本ではあまり取り扱われていないようです。

【ペースト金】

ガラスにペースト状の金液が半固形で塗られているものです。金油・ラベンダー・テレピン等を筆に含ませて、溶かし描きします。ほんの少し金が必要な時、ハンディです(日本ではあまり見ません)。

 

【ゴールドペン】

右の金属窪みに金液を入れ、ペンのように使用します。キャップは乾燥防止です。すぐ先が詰まるので、付属の細い針金を通して直します。片づけは、何度も金油を通して、中の金液を完全に出します(画像のスポイトは、ラスターで使用するものです。ついでに写ってしまいました・・・)。


おまけの話・「金液の寿命」

高価な金液は、ついバーゲン時にまとめて購入したまま何年もたってしまったりしますが、未開封でも劣化します。多少どろっとした程度でしたら、金油で希釈すれば使用出来ますが、かちかちに固まったものは再生出来ません。特に金含有率の高いものや、速乾性タイプの金液に注意が必要です。また、保管は揮発防止の為、缶・タッパー等密閉製の高いものに入れた方が良いと思います。

2002/8/2 金井景子制作 2013年3月加筆修正

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